アイランド Once On The Island

アイランド Once On The Island

家族でエンジョイ
アイランド Once On The Island
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1985年のローザ・ガイの小説「My Love, My Love:  The Peasant Girl 」が原作になったミュージカル。 1990年のブロードウェイ初演の際にはトニー賞で8部門でノミネートされたが、無冠に終わった。一方1995年にイギリス、ウェスト・エンドで上演された際には、ローレンス・オリヴィエ賞で作品賞を受賞している。ローザ・ガイはトリニダッドで生まれてニューヨークで育った作家。11歳で母を、15歳で父を亡くし、孤児になって一緒に住んだ年上の従兄弟が汎アフリカ主義者で、その影響を強く受けたと言われている。

あらすじ&コメント

舞台はカリブ海の小アンティル諸島のフランス領一つの島。ここには 愛、死、大地、水の4つの神が住んでいた。昔、フランスからこの島に来た貴族のボゾーム家との間に生まれた息子は、 島の現地民の百姓たちを率いてフランス人相手に戦い、百姓たちに勝利をもたらす。フランス人の父は島から追放される時、その息子に呪いをかけた。「お前の子孫は、現地民とは平等になろうとはしないだろう。生まれてくるボゾーム家の嫡男は4世代に渡ってフランス人として生きるのだ」と。舞台は現代に移り、貧しい黒人達は、裕福に暮らす肌の色が薄い住民と分かれて暮らしていた。ボゾーム家の住む島の反対側に住む黒人の孤児ティ・モーンは、彼女を自分の娘として育ててくれた夫婦と貧しいながらも幸せな日々を過ごしていた。しかし年頃になった彼女は、階級の違うボゾーム家の嫡男ダニエルに恋をしてしまう。ある日、水の神が起こした嵐によって、ダニエルが車で衝突事故を起こしてしまう。瀕死の重傷を負ったダニエルの命を救うために懸命に看病するティ・モーンのところに、死の神がやってくる。ティ・モーンは、自分の命と引き換えに彼を助けてくれと懇願する。ティ・モーンのおかげで死から逃れて元気になったダニエルも彼女に恋をする。しかし、すでに良い家柄の許嫁のいる彼は、ティ・モーンの元を去って許嫁の元に戻っていく。心破れたティ・モーンは入水して自らの命を絶ってしまうが、彼女の魂は島の木となり、その愛の力は呪いを壊し、その木の上で、肌の色の違う子供たちが一緒に遊ぶ時代が訪れる。

この作品は、賢い黒人が白人を助けるために自己犠牲を惜しまず、それによって、白人の悪者が改心したり負けたりするという、1800年代からハリウッド映画で良く描かれるタイプの物語だが、白人の観客が黒人以上に周りで感激して湧いて観ているのは、興味深い。

神々を演じる出演者の歌声は皆素晴らしく、特に大地の神アサカ役のアレックス・ニューウェの声は凄い。アレックスは、人気のテレビドラマの「Glee」でデビューして知られる様になったゲイの男優で、「Glee」と同じく女装して出演している。 愛の神役には、ミュージカル 『ミス・サイゴン』の初演でトニー賞に輝き、地元のフィリピンでは英雄扱いのレア・サロンガ。中年太りが多少気になる彼女だが、声は相変わらず美しい。

客席側にも、Tシャツなどが壁全体にかけられ、貧困街の洗濯物干し場を彷彿とさせる作り込みは面白かった。その一方で、貧民街の住民が神の振りをしたかの様な4人の神々の衣装は、イマイチだ。例えば、死の神はボロボロのTシャツとショートパンツの上に、 手製丸だしの赤いギザギザの恐竜の背びれの様なものを、首から腰にかけてつけているのだが、 それが缶を切って作っていて、良く見るとコカコーラのロゴが読める。それなりの意図があるのだろうが、予算のない学芸会を見ている様でもあり、神々の霊妙さがなく、この話の神秘さが生かしきれていないのは残念だった。12/20/2018

メディア評

NY Times: 8
Wall Street Journal : 7
Variety : 8

Circle in the Square
235 W 50th St

上演時間:1時間30分(休憩なし)

舞台セット ★★★★★
作詞作曲 ★★★★☆
振り付け ★★★★☆
衣装 ★★★☆☆
照明 ★★★★☆
総合 ★★★★☆

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