ザ・イリュージョニスト THE ILLUSIONISTS 〜 Magic Of The Holidays〜

ザ・イリュージョニスト THE ILLUSIONISTS 〜 Magic Of The Holidays〜

家族でエンジョイ
ザ・イリュージョニスト THE ILLUSIONISTS 〜 Magic Of The Holidays〜
ザ・イリュージョニスト THE ILLUSIONISTS 〜 Magic Of The Holidays〜

このブログではいままでブロードウェイで演じられる芝居やミュージカルを紹介してきたが、今回は「ザ・イリュージョニスト」を紹介したい。この作品はその名の如く、イリュージョンだ。芝居でもミュージカルでもない。しかし「ザ・イリュージョニスト」は、世界ツアーをしながら一年に一回冬の間だけブロードウェイで公演されているので、取り上げた次第である。

あらすじ&コメント

まずイリュージョンについて簡単に紹介しておきたい。

年配の方は、引田天功というマジシャンをご記憶かも知れない。当時屋外で行われる「脱出マジックショー」などと呼ばれていたのが、実はイリージョンだった。当時はTVにおけるビデオ技術の進化に伴い、屋外の大がかりな脱出マジックが人気を博した。またそれ以前に演じられていた、ステージ上で空中に浮遊したり、箱の中に入った人がいなくなってしまう、といったマジックも、現在ではイリュージョンと呼ばれている。

このイリュージョンの対局にあるのが「クロースアップ・マジック」で、無理に日本語に訳せば近接手品とでも言うのだろうか。からくりやネタがあると言う点で両者は同じだが、クロースアップ・マジックが手や体の動きが主役なのに対して、イリュージョンでは、大がかりな装置を利用することが多い。したがって離れた所から観ていても驚けるようになっている。

日本ではイリュージョンを観る機会は多くないが、最近ではイリュージョンを題材にしたハリウッド映画が上映されることも多くなり、理解されつつあると思う。興味があれば今回紹介する『ザ・イリュージョニスト』を来年又ニューヨークに来ると思うので、是非体感していただきたい。

『ザ・イリュージョニスト』は2012年1月にシドニーのオペラハウスで初演され、その後ロンドンのウェストエンド公演が大ヒット。以後、世界各地で副題、演者、趣向を変えながら公演を続けてきており、ブロードウェイに来るのは4回目となる。

今回は、案内役を務めるアダム・トレント/Adam Trentを筆頭に5人のイリュージョニストが得意技を見せてくれる。それぞれ全く違うジャンルのイリュージョンが、冗談を交えながら踊るようなテンポで演じられるので飽きる暇はない。またハイテク映像やLEDスクリーンを用いて、舞台をフルに使っているのも見どころとなっている。

ではその5人について一人ひとり紹介していこう。

まずは2018年の『アメリカズ・ゴット・タレント/America’s Got Talent』で最優秀トロフィーを手にしたシン・リム/Shin Lim 。

自称The Manipulator(手技師)と言う彼は、クローズアップ撮影用カメラと一緒に登場し、その手元が舞台上の大きなスクリーンに映し出される中で演じる。大がかりな装置に頼って派手さをアピールするイリュージョンが多いなか、鍛練により身につけたテクニックを駆使することで観る者の心を掴む。騙されまいと思っていても知らぬ間に錯覚の罠に掴まってしまう彼のトランプマジックは、まさに魔法だ。唸らずにはいられない。

シン・リムはバンクーバーで生まれたカナダ人。両親がシンガポールからの移民で、自身2歳から11歳までシンガポールの学校に通ったそうだ。その後、2015年にイタリアで開かれたマジック・オリンピック・カード部門で優勝すると、その頬骨が高いモデル顔から醸し出されるキザでクールな雰囲気が相まって、アメリカでは今一番注目されているマジシャンだ。

次に紹介するのは、案内役のアダム・トレント/Adam Trent (自称The Futurist  未来派)。

彼は未来を予言できたかの様に思わせる手品で客を沸かせる。過去のブロードウェイの『 ザ・イリュージョニスト』にも出演していて今回が3度目となる。舞台映像技術を駆使し、昔ながらのイリュージョンに歌とダンスを融合させた見応えのあるエンタテイメントになっている。

The Grand Illusionist(偉大な魔術師)と自称するダーシー・オーク/Darcy Oakeは、エリザベス女王の90歳の誕生日に英王室家族の前で演じて魅せたマジシャンで、今は米国版のコンペティションTV番組 『アメリカ・ゴット・タレント』の審査員を務めている大御所だ。『 ザ・イリュージョニスト』では大御所らしい渋い演技で観客を魅了する。

今回の出演者では紅一点となるクロエ・クロフォード/Chloé Crawford は、The Sorceress(女魔法使い)を自称している。しかし元Playboy誌のモデルでもあった彼女が、セクシーな衣装をまとって剣を口に入れたりすると、そんな自称はどうでも良くなる。彼女は革新的な演劇集団「ザ・スーパーナチュラリスト」やラスベガスで行われたシルク・ド・ソレイユの「クリス・エンジェル・マインドフリーク・ ライブ!」にも出演している。

最後はシャーロック・ホームズの様な出立ちで登場するコリン・クラウド/Colin Cloud。 自称The Deductionist(推理師) のとおり、ホームズのように演繹的な推理を駆使して、観客が今日ランチに何を食べたか、職業は何か、どんな車を運転しているか、などを言い当てて行く。

このショーでクローズアップされるのはイリュージョニストだけではない。ダンスグループの「ライト・バランス/ Light Balance」にも注目したい。彼らはウクライナで結成され、現在はロンドンを拠点に活動している。身につけた衣装にはふんだんにLEDが埋め込まれていて、踊りと綿密に連携するようにコンピューター制御されている。彼らが暗闇で繰り広げる舞踏は、新たに加わったイリュージョンの形なのかも知れない。

ちなみに彼らは、2017年の『アメリカズ・ゴット・タレント/America’s Got Talent』で3位に入賞している。

以上で紹介は終わりだが、世界的な観光地であるラスベガスに行かないと観れない様な理屈抜きのエンターテイメントで、来年も楽しみだ。

Marquis Theatre
1535 Broadway

公演時間:2時間15分(15分の休憩含む)

The Hollywood Reporter 7
Stage Left  5
TheatreMania  3

舞台セット ★★★★☆
衣装 ★★★★☆
照明 ★★★★★
総合 ★★★★☆

Photos by Joan Marcus

Photos by Joan Marcus

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