プリティ・ウーマン Pretty Woman

プリティ・ウーマン Pretty Woman

話題性あり
プリティ・ウーマン Pretty Woman
プリティ・ウーマン Pretty Woman

例年のブロードウェイでは新しくオープンする作品が少ないこの時期だが、期待の募る大作が幕を開けた。1990年の大ヒット映画をミュージカル化した『プリティ・ウーマン』だ。原作映画では、当時売れっ子だったリチャード・ギアの魅力と、無名のジュリア・ロバーツ)が創り上げた売春婦ヴィヴィアンのキャラが化学反応をおこし、単純なシンデレラ・ストーリーが人々の心を虜にした。世界的に高収益を上げた映画の舞台化とだけあって、客席は地方からの観光客らしい中年層の女性で溢れかえっていた。

あらすじ&コメント

今回のヴィヴィアン役のサマンサ・バークスは、映画『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役でも評判になった10年以上の舞台キャリアを持つ女優だ。『プリティ・ウーマン』という作品そのものが、原作映画でジュリア・ロバーツが創り上げた無邪気で天然なヴィヴィアンの役柄に人々が魅了された結果、ヒットし知名度を高めた。それ故に、今回ヴィヴィアンを演じるサマンサ・バークスは、映画でジュリア・ロバーツという他人が創り上げたそのキャラをそのまま舞台で再現する役目を担った。ところがバークスはどちらかというと知性の漂う女優で、売春婦のヴィヴィアンのキャラとは反対の空気感を持つ。バークスには申し訳ないが、例えば純真無垢な役を演じれば誰にも負けないアナリー・アッシュフォード(2015年トニー賞受賞)なら、ヴィヴィアンの役柄を自分のものにして開花させることができていたのではないかと想像してしまった。

 

ヴィヴィアンの衣装は映画と似たデザインと色合いになっていたが、オペラに行く時に纏う真っ赤なドレスと肘上まである白い手袋の組み合わせは正に彼女がプリンセスに変身するシーンであり、大きな拍手で迎えられていた。振り付けは演出家も兼ねたジェリー・ミッチェル。 2013年『キンキーブーツ』で振付師としてのトニー賞も受けているが、今回は歯切れのない単純過ぎる動きが多く、彼の創作らしくないものだった。

 

エドワード役のアンディー・カールは、ミュージカル『恋はデジャ・ブ』や『特急20世紀号に乗って』などでそうだったように、コミカルな役柄を演じれば見事な軽やかさが持ち味のスマートなミュージカル男優だ。しかし、金融業界で成功しながらも、周りの人々から心を冷たく閉ざしたエドワード役を演じるカールは、どことなくぎこちない。

だからエドワードにミュージカルナンバー「Something About her(訳:彼女の何かが)」で「何故、俺は彼女に惹かれるのか・・・」と歌われても「こちらもわかりませ〜ん」と答えたくなる。2人とも良い役者なので、勿体無いミスキャストだ。
そして物語自体が単純なシンデレラ・ストーリーなので、主演の2人に魅了されない2時間半は長く感じられる。一方、終始場を盛り上げてホッとさせてくれるのは脇役を演じる2人の役者。歌唱力の素晴らしいヴィヴィアンの友人役の女優 オルフェと、狂言回し役とホテルのマネージャー役の2役をこなすブロードウェイ・ミュージカルのベテラン男優エリック・アンダーソンだ。

ミュージカル版の脚本は、 原作映画の脚本家J.F.ロートンと、監督のゲイリー・マーシャル(2016年没)による。  8.23.2018

メディア評

NY Times: 4
Wall Street Journal: 5
Variety : 5

Nederlander Theater
208 W. 41st St.

上演時間:2時間30分(15分の休憩)

舞台セット ★★★☆☆
作詞作曲 ★★★☆☆
振り付け ★★☆☆☆
衣装 ★★☆☆☆
照明 ★★★☆☆
総合 ★★★☆☆

Photo by Matthew Murphy, 2018

Photo by Matthew Murphy, 2018

Photo by Matthew Murphy, 2018

Photo by Matthew Murphy, 2018

Lost Password