Significant Other(上演終了) 作品レビュー

マニア向け 舞台/パフォーマンス

Photo by Joan Marcus

Photo by Joan Marcus

Photo by Joan Marcus

Photo by Joan Marcus

涙有り、笑い有りのチャーミングな作品だった。

舞台セットは3階建てのアパートを半分に切ったところにガラスが張られている様なもので、照明を使って、その中の違う部屋に生活する出演者が時々チラッ、チラッ、と見える仕組みになっていて、センスがいい。

主人公が 急に体の向きを変えて、照明を変更するだけのスピーディーな場面や時間の移り変わりなども素敵だ。俳優は、主人公のギデオン・グリック (『春のめざめ 』のオリジナル・ブロードウェイ・キャスト)と3人のガールフレンド以外は、よくオフである様に一人2役、3役など熟していたが、皆、レベルの高いいい俳優達だった。オフ・ブロードウェイでも無名の素晴らしい俳優がぞろぞろと揃うのだから、さすがにニューヨークである。

 

主人公はゲイだが、ストーリーや台本自身は主人公を女性が演じても、そのまま使えるだろう。ゲイでないとエンジョイできないという作品ではなく、「一人で生まれて一人で死ぬ」という運命を背負った、人という生き物の孤独について語った作品である。

 

彼のお婆ちゃんが「若いうちに死んじゃだめ。でも、歳取らない様にね」とジョードンに話す。

また「もう十分なの」と呟き、「自殺するには、手首を切るのがいいかしら、薬を呑みたいけれど、どれを呑んだらいいのかわからないし。でも心配しないで、、、そんなことはしないから。(溜息)」と淡々と孫に話すのは、なんとも悲しい。

また、ジョードンの「 殆どの世の中の人は、自分が本当にしたいことをしないで死んで行く。

僕もきっとその一人になるに違いない!」という不安も、心に訴えかけてくる。

ただ、彼の寂しさと彼女の孤独をひとまとめに「人間の寂しさ」として捉えている様なところもあり、それが多少、しっくりいかなかった。伴侶も友人も一人一人死んで行き、誰よりも愛する子供達は彼ら自身の生活があって忙しく、体は疲れ、頭も衰えて、何がなんだかわからなくなっていく一人暮らしの老婆の不安や寂しさ。それは、ホルモンが一杯出ている20代の子が「彼氏が居ない、彼氏が居ない。ああ、自分は一生、愛をわかちあえる人に出会えないまま、そして家族もいないままで死ぬのかもしれない」という不安とは、わけが違うと思う。それをいっぺんに描こうと、ちょっと欲張り過ぎ?、という感じがした。

 

台本はさすが評判になった若手の戯曲家だけあって面白い。

第二幕の後半、一番仲良かったのにもうすぐ結婚してしまうガールフレンドのパーティーで、ジョードンと彼女は凄い大げんかをしてしまう。その台詞は最高で、喧嘩がエスカレートして行くうちに二人は怒りにまかせて、言うつもりじゃなかった 本音がどんどん出て来る。終いには大好きなのにお互いを傷つけ合い、自分達も傷ついてしまう、という光景がうまく描かれていた。

もう一度、あの場面は観たいくらいである。

o.

他のメディアのレビュー

NY Times: 7
Daily News: 7

Lost Password