スモーキー・ジョーズ・カフェ Smokey Joe’s Cafe

スモーキー・ジョーズ・カフェ Smokey Joe’s Cafe

オフ・ブロードウェイ 家族でエンジョイ
スモーキー・ジョーズ・カフェ Smokey Joe’s Cafe
スモーキー・ジョーズ・カフェ Smokey Joe’s Cafe

ミュージカル・レビュー作品としてブロードウェイ史上で最長ロングラン記録を持つのが『スモーキー・ジョーズ・カフェ』。名曲「スタンド・バイ・ミー」や「ハウンドドッグ」などを世に送り出した作詞・作曲家コンビのリーバー&ストーラーによる歌の数々が披露される同作品がこの夏、ニューヨークに帰ってきた。今回はブロードウェイではなく、オフ・ブロードウェイでのリバイバルだ。

あらすじ&コメント

『スモーキー・ジョーズ・カフェ』がブロードウェイで初演されたのは1995年のこと。9人の出演者がおよそ40曲を次々と歌っていく同作品にはテーマや物語はなく、男女の恋愛模様などといった様々なシチュエーションが曲々で独立して描かれていく。それもあり、初演時は創意工夫に欠ける作品であると多くのメディアが口を揃え、当初は客入りが今一つだった。ところが、その年のブロードウェイでは記録的にミュージカルの開幕数が少なかったという特殊な事情が同作品を救う。

新作ミュージカルでは、同作品を含めわずか2作品しか幕を開けなかった。そのため同年度のトニー賞では無条件に最優秀ミュージカル作品賞など7部門で候補に挙げられ、授賞式のテレビ放映を通じて作品が露出したことで知名度が高まった。また観光の一環としてブロードウェイで舞台を観てみたいが、劇場は敷居が高いと感じる傾向のあった人々でもコンサート感覚で親しみやすい作品として軌道に乗ったのだった。

 

およそ19年ぶりにニューヨークの演劇界に返り咲いた今回のリバイバルのターゲットは前回とほぼ同じで、観劇を躊躇する年配のオールディーズのファン。42丁目の劇場街界隈にある499席のオフ・ブロードウェイの小劇場を選んだのも、同作品の顧客を意識したからこそ。ブロードウェイやオフ・ブロードウェイの厳密な違いなどの演劇事情に詳しくない観光客なら、ロングランがあたかも続いていたかのように感じる可能性があると睨んでのことだ。そして、オフ・ブロードウェイでの上演のメリットがもう一つある。ブロードウェイでの上演では舞台俳優組合などの労働組合との取り決めにより一作品平均で一週間に60万ドルの上演コストがかかる。ところがオフ・ブロードウェイでは制約が少なくなるためコストを半分に抑えられるのだ。

 

リバイバルで演出と振付を手掛けたのは近年ミュージカル『オン・ザ・タウン』や『恋の手ほどき』、そして『チャーリーとチョコレート工場』などで振付師としての活躍が目覚ましいジョシュア・ベルガッセ。初演ではあった幕間をカットし、テンポの良い1時間40分にまとめた。踊りながら歌うというのはかなりの技術と身体を持っていないと無理なのだが、女性4人と男性5人の素晴らしいダンスを見ながら、有名なメロディを次々と生で聴けるというのは、ニューヨークならではの贅沢極まりない時間だろう。

 

今回の上演劇場の客席数は499と一席足せば規定によりブロードウェイの劇場にも認定されかねない。つまりオフ・ブロードウェイとしては最大の客席数を誇る劇場となる。それだけに小劇場と思えないほど舞台装置は豪華で、客席前方の天井にまでステージから装置が飛び出すように組まれている。初演とはデザインを一新した舞台装置は郷愁を誘う田舎町のバーとなり、客席全体をノスタルジックな感慨に浸らせるのだ。

さらに初演と異なるのは、出演者が何回も客席とステージを行き来し拍手を促しステージを盛り上げていくという、観客参加型の演出の豊富さで、こうした場面での観客の反応が終始微笑ましい。

 

上演されているステージ42では2002年にこけら落とし公演が行われたが、それ以来、興行的に成功する作品が上演されない魔の劇場としても知られるが、この日の客席は団塊の世代で埋め尽くされていた。もしこのまま夏休みが終わっても集客が続きロングランが叶えば、この劇場初のヒット作になるのではないかと思うと期待が募る。

メディア評

NY Times: 5
TimeOut NY : 7
The Hollywood Reporter : 8

Stage 42
422 West 42nd St

上演時間:1時間30分(休憩なし)

舞台セット ★★★★☆
衣装 ★★☆☆☆
照明 ★★★☆☆
総合 ★★★☆☆

Photo by Joan Marcus

Photo by Joan Marcus

Photo by Joan Marcus

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