時間とコンウェイ家 Time and the Conways

時間とコンウェイ家 Time and the Conways

しぶい
時間とコンウェイ家 Time and the Conways
時間とコンウェイ家 Time and the Conways

イギリスの劇作家、J・B・プリーストリーによる1937年の作品。彼女は社会主義的思想の傾向が強い劇作家だったが、併行して、思想家のジョン・ウィリアム・ダンの「過去・現在・未来は実際には同時に起こっていて、ただ人間の知覚がそれを連続的だと捉えているだけだ」という考えに大きく影響を受けた。この作品ではこうした複数の事柄がテーマとなっている。

あらすじ&コメント

1919年のコンウェイ家の誕生日パーティーの一場面とその18年後となる1937年のコンウェイ家の一場面を2往復しながら進み、裕福な一家が社会のうねりとともに困窮していった様子を描いている。4人の娘と2人の息子を持つコンウェイ家は家も土地もあり、大勢のお客を招待し娘の一人ケイトの誕生日を祝っている。家族やその友達は楽しんでいるのだが、誕生日の主役のケイト本人は突然、一番お茶目で明るい末っ子のキャロルが自殺しまう未来を予知してしまう。その後、29年の世界恐慌もあり、コンウェイ家の人々の運命は現実を見ようとしない母親を中心に空回りしてしまう。社会主義が実現せず失望する長女のマージは結婚もせずに頑な女になり、一番美人だったヘーゼルは結婚に失敗し、ケイトは著名作家になる夢を叶えられないまま雑誌社に勤めていた。更には、ケイトが予知した通りに末娘のキャロルは自殺しており、期待されていた息子のロビンはろくにお金も稼げず、一家全員が自分たちの野望や夢とはあまりに違う現実に失望した生活を送っている。そんな中、長男でもともと期待されていなかったアランだけは、今の平凡な事務仕事に満足していた。そんな彼は繊細なケイトを抱き寄せて、過去幸せだったとか、これからもっと未来は悪くなるとかは、意味のない時間の捉え方だと慰めるのだった。

コンウェイ家族全員が強い個性を持つのだが、それが大袈裟に演じられ過ぎていて、それぞれのキャラクターの状況を説明する台詞に追われて、人物を掘り下げる時間がなく、誰にも感情移入ができないままストーリー物語が進む。

一方、舞台装置は印象に残る。コンウェイ家の居間が17年後に場面転換する際、最初の1919年の居間の舞台装置全体が、キャロルがソファーに座ったままの状態でステージ後方に下がって行く。その後亡くなるという設定のキャロルは無表情に瞬きもせずに前方をじっと見つめていて、不気味な光に照らされている。そして、その前に17年後の色褪せた居間の舞台装置が上から吊られて下りてくる。その窓からは後ろの1919年の居間やキャロルがまだ見えているが、1937年の居間に完全に照明が照たった瞬間、それは消える。

コンウェイの母親役はエリザベス・マクガヴァン(Elizabeth McGovern)。覚えている人は少ないかもしれないが、彼女はロバート・レッドフォード監督の映画『普通の人々』で、息子のコンラッドが仲良くなる女学生役を演じていた。『ラグタイム』でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、『窓・ベッドルームの女』や『結婚の条件』など映画女優として有名だが、元々舞台俳優であり、25年ぶりにステージを踏んだ。

又、バレエ界で世界的に有名なマイケル・バリシニコフの娘が、キャロル役としてブロードウェイ・デビュー。小さい頃、お父さんにバレエのレッスンに通わせてもらったが、おしゃべり好きの彼女は体よりも口ばかりが先に動いて、ダメだったという。明るく可愛い雰囲気の中にも、すきだらけで傷つきやすく自殺をし得る危険さを感じさせ、いいデビュー作品となったのではないだろうか。

メディア評

NY Times: 6
Time Out : 6
Variety : 7

American Airlines Theater
227 W. 42nd St
尺:2時間15分 (15分の休憩含む)

舞台セット ★★★★★
衣装 ★★★☆☆
照明 ★★★★★
総合 ★★★★☆

Photo by Jeremy Daniel (2017)

Photo by Jeremy Daniel (2017)

Photo by Jeremy Daniel (2017)

Photo by Jeremy Daniel (2017)

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