朱鷺(トキ) Soaring Wings

朱鷺(トキ) Soaring Wings

朱鷺(トキ) Soaring Wings
朱鷺(トキ) Soaring Wings

オンやオフのブロードウェイではないが、今日はリンカーンセンターで上演された中国の上海歌舞団による「舞劇」を紹介したい。
「舞劇」は、世界中の伝統的舞踊を元にして、踊りだけで表現する劇で、今回観たのは農民が美しい朱鷺に恋する物語、「朱鷺(トキ)」だ。

あらすじ&コメント

農民の男性と朱鷺の精である女性が、湖の畔で愛し合い幸せな時を伴に過ごす。が、やがて朱鷺には離れなければならない時が訪れる。別れを惜しむ彼女は、自らの羽を一枚抜いて男性に預け、仲間と伴に去って行く。そして長い時が過ぎる。近代化に伴う自然破壊は凄まじく、住処(すみか)を汚染された朱鷺達は死に絶え、もはや博物館に陳列されるだけの存在となってしまう。ある日、そんな博物館を訪れた生徒たちは、剥製となっても美しさを残す朱鷺の前に一人で佇む老人に気付く。その老人の手には一枚の羽が握られているのだった。やがてその老人は、生きていた頃の朱鷺のことを、一枚の羽を手にして語り始めるのだった。

1978年に設立された上海歌舞団のダンサーたちは、力強い筋肉と柔軟な関節を使い、しなやかな動きと静止を繰り広げる。朱鷺の群れを踊るダンサー達は、小さい動きを正確にシンクロさせ、自然に勝る群舞を披露する。主役の農民を踊る王佳俊(ワン・ジヤジュン)のジャンプは、まるで空中で停止している様だ。ただヒロインの朱鷺は、突然鳥の様にカクッと頭を動かしたり首を前に突き出したり腕を羽のように曲げたりと、実際の朱鷺の動きを取り入れているのだが、単純に自然を模倣する試みが、常に芸術性を伴なうとは限らない。

位置幕目のストーリーの流れ、場所の設定など、主役二人の舞にチャイコフスキーの大作『白鳥の湖』のパ・ド・ドゥを重ねたアメリカ人は多かっただろう。ロシアに生まれ、100年以上の歴史を経て改変され洗練されてきた現在の『白鳥の湖』。その完成された作品が何度も演じられたリンカーン・センターで、今回この舞劇を発表した意図は何だったのだろうか。ダンサーたちだけではなく、美しい場面を創り上げた照明、衣装や、随所に垣間見られる素敵な振り付けなど、十分見どころを持つ上海歌舞団の彼ららしさを発露した次回作品に期待したい。

なお環境問題に興味を持たれている団長の陳華飛氏は、2010年の上海万博日本館で絶滅した「朱鷺」の展示を観てこの作品を発想したそうだ。

メディア評

Fjord Review: 9
Broadway World : 7
Theater Scene : 8

ニューヨーク・リンカーンセンター
ディヴィット・H・コーク劇場

公演時間:2時間(休憩1回)
公演期間:2018年1月5日~7日

舞台セット ★★★★☆
作詞作曲   ★★★★☆
振り付け   ★★★★☆
衣装 ★★★★☆
照明 ★★★★★
総合 ★★★★★

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